窒素族元素の実験


  窒素族元素は、第15族元素(長周期律)、X(5)族元素(短周期律)、プニクトゲン(窒素を除く)、であり、窒素N、原子番号7)、リンP、原子番号15)、ヒ素As、原子番号33)、アンチモンSb、原子番号51)、ビスマスBi、原子番号83)、等 で構成される。
  第15族元素は価電子に ns2np3 の5つの電子を持つ電子構造なので、窒素とリンの荷電子は 混成軌道の共有結合を持ち、一方、ヒ素、アンチモン、ビスマスは 共有結合と 金属としての性質を併せ持つ 半金属であり、+3価と +5価の酸化数が安定である。
  窒素族元素の水素化物は、アンモニア(NH3)、ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3)が存在し、アンモニア以外はすべて猛毒である。



  1. 窒素の実験:


  窒素は、第15族で常温で唯一気体の元素であるのは、窒素原子同士の3重結合による 強固な結合力によるためで、窒素分子(N2)は 希ガスに次ぐ不活性な気体になっている。 第2周期の隣の炭素が、4本の共有結合手による立体的で多様な構造をとり、すべての元素中最高の融点(昇華点 3642℃)で、ダイヤモンドは(自然物の中で)最高硬度であり、また有機化合物は無限の多様性を持つのに対して、非常に対照的である。 有機化合物に化学的に入った窒素は、炭素の多様性のゆえに、多様な変化をする。(アミノ基、イミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、 ピロール環、ピリジン環、インドール環、プリン環など) 特に、生物体を構成する物質(アミノ酸、タンパク質、酵素、核酸、・・・)として重要な役割を担っている。
  マメ科の植物は根瘤バクテリアによって たんぱく質の形で空中窒素を固定する。

  窒素の沸点は−195.8℃(77.36K)(融点 −210℃)で、反応性に乏しいことや資源が多くあり、安全・無害であることから、液体窒素は低温の冷媒に多用されている。
  アルカリ金属のうち、リチウムのみが単体のN2と直接反応する。(6Li + N2 → 2Li3N、(=リチウムの切り口が黒くなること) Li3N + 3H2O → NH3 + 3H2O)

  窒素原子同士の強固な3重結合を引き離す、実用的な化学反応は、空中窒素固定法(ハーバー・ボッシュ法・・・鉄系触媒を用いて高温・高圧(400〜600℃、200〜1000atmの超臨界流体状態)で水素と反応させ アンモニアを作る方法)、そのアンモニアを白金触媒で空気酸化させ硝酸を得る方法(オストワルト法)、 カルシウムカーバイドと1100℃・2気圧で窒素と反応させ カルシウムシアナミド(肥料)を作る方法(CaC2 + N2 → CaCN2 + C)、磁石で広げた電弧で空気を反応させ一酸化窒素(NO)を作り 水や石灰に吸収させて硝酸・硝酸塩を作る方法(ビルケラン・エイデ法、ノルウェー硝石)、など、きわめて限られている。 特にハーバー・ボッシュ法は窒素肥料の大量生産をもたらし、20世紀の農業に大いに貢献した。

  ごく最近になって、さらに低エネルギー化が可能な、50℃で窒素と水素を直接反応させてアンモニアを作る 触媒(Ru(ルテニウム)‐CaFH(水素化フッ素化カルシウム))が開発されている。(東工大、2020年)

   原子間の結合エネルギー: N≡N 928kJ/mol、   cf. H−H 432kJ、 H−N 386kJ、  C−H(メタン中) 413kJ、  C−C 368kJ、 C=C 590kJ

   ex)  N2(gas) + 3 H2(gas) → 2 NH3(gas) ・・・ アンモニアの生成熱 +92kJ/mol、  N≡N の結合エネルギーを x とすると、
        386 × 3 × 2 − (x + 432 × 3) = 92、  ∴ x = 928kJ/mol   ・・・・・ かなり大きい

   cf.   H2(gas) + 1/2 O2(gas) = H2O(gas)  +242kJ/mol
         C(sol) + 1/2 O2(gas) = CO(gas)  +111kJ

   空気中での高電圧放電は、窒素のピンク色:
     


  (1) 窒素ガスの発生:

  亜硝酸ナトリウム(NaNO2、M=69.0) 約20gを水に溶かして 約50mlとする。 フラスコに、塩化アンモニウム(NH4Cl、M=53.5) 20gを水に溶かして100mlとした溶液を入れ、穏やかに加熱しながら 亜硝酸ナトリウム水溶液を少しずつ滴下する。 発生する窒素ガスは、水上置換法で集める。 燃えさしやチャッカマンなどを入れると火が消える。
  窒素中では、マグネシウムは燃えないが、リチウムは燃焼する。 切ったリチウムの断面は表面が(酸化よりも早く)窒化して、速やかに黒くなる。長時間(数年)経つとマグネシウムも黒くなる。

     NaNO2 + NH4Cl → NH4NO2 + NaCl、     NH4NO2 → N2↑ + H2O
    

  (2) 三ヨウ化窒素の実験: (多量に作らない事、 ヨウ素の煙・換気注意)

  原子状の窒素2個から 1個の窒素分子が生成するときのエネルギーが大きいことを体感する実験。

  ヨウ素(I、M=127.0)) 1g と ヨウ化カリウム(KI 、M=166.0) 2g を 水に溶かして15mlの溶液としておく。(ヨウ素はヨウ化カリウム水溶液によく溶ける) これに、ゆっくりと 28%アンモニア水(NH3、M=17.0) 5ml(過剰量)入れ静かに撹拌すると、三ヨウ化窒素・アンモニアの黒褐色の沈殿ができるので、ろ過して集める。(直接、乳鉢でアンモニア水とヨウ素を擦ってもできる) この沈殿が湿っているうちに、紙などの上に、点状に付け、よく乾かす
  乾いた沈殿は、加熱はもちろん、薬さじや 羽などが触れても 爆発して、大きな破裂音と ヨウ素の煙を出す。(少しでも湿っていると爆発しない) 残りの処分は、濡れているうちに流すと自然分解する。

       6 NH3 + 3 I2 → NI3・(NH3)5↓ + 3 HI、      NI3・(NH3)5 → NI3・NH3 + 4 NH3↑ (乾燥)

       8 NI3・NH3 → 5 N2↑ + 6 NH4I + 9 I2 (爆発)

   

  (3) 硫酸ヒドラジンの作成: (換気注意)

  前回 19、8.で尿素から硫酸ヒドラジンを作ったが、ここでは アンモニアから メチルエチルケトンを通して、硫酸ヒドラジンN2H4・H2SO4、M=130.1、mp.254℃、溶解度 3g/100ml水)を作成する。
  28%アンモニア水(NH3、M=17.0) 250ml(過剰量) に 0.5gのゼラチン(水の軟化剤)を入れて溶かし、メチルエチルケトンMEK、2‐ブタノン、C2H5・CO・CH3、M=72.1、bp.79.6℃) 100ml を加えて、10分間よくかき混ぜて溶かす。 これを氷水に漬けながら、10% 次亜塩素酸ナトリウム(NaClO、有効塩素10%、濃度は濃いほど良い、M=74.4) 200mlを加え、30分ほどよく撹拌する。(あるいは高度さらし粉でもできる) これを一晩静置して、できたメチルエチルケタジンを浮かび上がらせる。
  上層を取り、スポイトで フラスコに入れた20%硫酸(H2SO4) 約60mlに加え、80℃程度に加熱すると、硫酸ヒドラジンH2N−NH3・HSO4)の白い沈殿ができるので、ろ過・乾燥する。 (MEKの代わりにアセトンでもできるが、アセトンアジンの硫酸による分解は遅い) 収量: 約10g
 



  2. リンの実験:


  リンには、白リン(黄リン(おうりん)赤リン(せきりん)紫リン黒リンなどの同素体があり、たとえば赤燐を乾留すれば黄燐ができ、黄燐を260℃(沸点は280.5℃)に3−5日置くと、赤燐になる。 紫リン(α金属リン)は 鉛にリンを溶かして析出させ その後鉛を硝酸に溶かして除けば 残渣に残って得られる。 黒リン(β金属リン)は、12000気圧・200℃で得られる。
  リンそのものの製造は、カーボン・アーク炉で燐灰石、コークス、珪砂を1400℃に強熱・乾留して行われる。 (実験室では作りにくい → 10.黄燐の生成

  +3価、+4価、+5価の酸化数が知られ、三塩化リン(PCl3、+3価)、次亜リン酸(ホスフィン酸、HO・PO・H2、一塩基酸)、亜リン酸(2価の酸、H・PO・(OH)2、+3価)、五酸化二リン(P2O5、+5価)、リン酸(PO・(OH)3、+5価)、五塩化リン(PCl5、+5価)などがある。
  燃焼すると、五酸化二リン(五酸化リン、十酸化四リン、P4O10)の白煙が生じる。  4 P + 5 O2 → P4O10

  黄リンは、苛性アルカリ水溶液と反応して、ホスフィンPH3、窒素のアンモニアNH3に相当)を生じる。(ホスフィンは猛毒) この反応は、赤燐製造の際に残った黄燐を除去するために用いられる。高純度のホスフィンは、半導体製造時のドープ材に用いられる。   P4 + 4 OH + 2 H2O → 2 HPO32− + 2 PH3↑

  生体内では、骨や歯のリン酸カルシウム(アパタイト)や、細胞、神経細胞などのリン脂質の他に、核酸(DNAなど)において重要な働きをする。 ヌクレオシド(五炭糖+プリン塩基かピリミジン塩基が結合したもの)とリン酸がエステル結合したものが ヌクレオチドで、リン酸の2本の結合手で互い違いにつながった(ホスホジエステル結合した)物が、ポリヌクレオチド、すなわち 核酸となる。
  植物の土壌の3大栄養素は、窒素、リン、カリウムであり、そのうちのリン酸分が 栄養分の総量を決める(=律速になる)といわれる。 たとえば、洗剤の排水等によりリン酸が増えると、藻類が異常発生して”赤潮”などとなるので、排水中の全リン分が規制されている。(窒素、カリウムは規制できない。)


  (1) 黄リンの作成: 猛毒・取扱い注意、発火注意

  赤燐PM=31.0昇華点 490−590℃、ρ2.2〜2.35) 5〜10gを、φ15mmガラス管の一端を閉じて への字に曲げたものに詰めて、もう一端を50℃程度の湯の入ったビーカーの水面の少し下に漬け、バーナーで上の方から熱して赤燐をすべて乾留する。 ガラス管の途中も別のバーナーで時々温めて、管内のリンの蒸気や結露したものを追い出すようにする。 (漏れ蒸気が時々燃焼するが気にせず最後まで行う。終わったら、少し管を持ち上げて水面から出すと自然に内部に火が入って静かに燃える。 最後に使った器具はすべて火で焼いて 自然発火する黄燐を残さないようにする。あるいは硫酸銅溶液に漬けて、不燃化する。) 溶けた黄燐は過冷却するので、冷水に漬けて固まらせる。
  黄燐はピンセット等で扱い、空気中に出すと次第に白煙を上げ、ついには激しく燃えるので、ビンに水を入れて、必ず水に沈めて保存する。ビンが割れないように、さらにカンやケースに入れておくのが望ましい。
   ・・・・・  黄燐(白リン、M=31.0、mp.44.2℃、bp.280.5℃、ρ1.82、二硫化炭素、ベンゼンに溶)

  黄燐は昔 油脂と練って”ねこいらず”(ネズミ取り)に使用した。(暗所で光る) かなりの猛毒である。 初期のマッチに用いられ、毒性と火事になりやすい事から、赤燐の摩擦面と 硫黄+塩素酸カリウムの軸で火をつける 安全マッチに切り替えられた歴史がある。 現在は、2022年7月に日本における一般のマッチの製造は終了した。(安価なライターに置き換わっている為、また、輸入品になっている。特殊なキャンプ用マッチ、サバイバルマッチ等はマグネシウム合金を使用。) リンは逆に不燃材の用途が開発されている。 リン化アルミは水と反応して有毒のホスフィン(PH3)を発生するので、殺虫・燻蒸剤に用いられる。
   

  (2) ヨウ化メチルの作成:  有毒、換気注意

  有機合成の中間体として、三塩化リン(PCl3)や 五塩化リン(PCl5)などのハロゲン化リンがよく用いられている。 ここでは、赤燐(反応は比較的穏やか)と ヨウ素でできる 三ヨウ化リン、五ヨウ化リンを中間体として、メタノールからヨウ化メチルを作成した。 ヨウ化メチルは、メチル化剤として用いられる。

  赤燐(P、M=31.0) 5g(過剰量)、 ヨウ素(I、M=126.9、mp.113.7℃) 50g(0.40mol)を、混ぜないようにして フラスコに入れる。 フラスコを氷水で冷やしながら、メタノール(CH3OH、M=32.0、bp.64.7℃、ρ0.79) 16.2mlをゆっくり滴下する。 ヨウ素と赤燐が激しく反応するので、ヨウ素蒸気が漏れ出ないように 全体をよく冷やす。激しい反応が収まったら、加温して蒸留する。(多くのヨウ素が漏れ出てしまったら、反応終了後に、もう一度滴下漏斗に戻して 再蒸留する。)
  留分は、ヨウ素や酸が混じっているので、10%程度の炭酸ナトリウムチオ硫酸ナトリウム混合溶液と振って洗い、下層を 無水塩カルの入ったフラスコに入れて水分とメタノールを除く。
  ろ過・再蒸留して、褐色びんに入れて保存。(光でヨウ素を出し褐色になる) ・・・・ ヨウ化メチル(ヨードメタン、CH3I、M=141.9、bp.42℃、ρ2.28)

     10 CH3OH + 2 P + 5 I2 → 10 CH3I↑ + 2 H3PO4 + 2 H2O

 

  (3) リン酸の検出:

  モリブデン酸による リン酸の検出・半定量の実験をする。(試料: 海水、湖水、コーラなどの食品添加物、洗剤 等、あらゆる食品分析、環境分析)

  リン酸一カリウム(リン酸二水素カリウム、KH2PO4、M=136.1、リン分P(M=31.0)) 1.76gを 水に溶かして100mlとし、この10mlをホールピペットで量り取り 水で薄めて100mlにする。これを2倍に希釈すると、 リンP として 0.2mg/ml の溶液ができる。 さらに、1/10、1/100 に希釈した溶液を用意する。
  ・ モリブデン酸アンモニウム((NH4)6Mo7O24・4H2O、M=1235.9) 0.5gを6mlの水に溶かし、1:1硫酸(H2SO4) 3mlを加えてよく混ぜておく。
  ・ ハイドロサルファイト(Na2S2O4、M=174.1) の約10%水溶液を作っておく。(還元剤* 普通はアスコルビン酸還元法で行う
  P が、0.2mg/ml、 0.02mg/ml、 0.002mg/ml のそれぞれのリン酸(**)溶液を試験管に取り、モリブデン酸アンモニウム液と ハイドロサルファイト溶液を 1〜2滴加えると、モリブデン・ブルー青色が現われる。 (本来はここで、比色管に入れ、分光光度計で定量する(λ=823nm) ・・・ あらかじめ標準液で検量線を作る)

  * 還元剤として、アスコルビン酸(0.1mol/l)、あるいは、亜硫酸ナトリウム(10%)+ヒドロキノン(0.5%)を用いても良い。
  ** 全リンを定量するためには、前処理で、窒素・リン測定用のペルオキソ二硫酸カリウム(4g/100ml)で、(ホスフィン、亜リン酸などを)すべてリン酸に酸化してから、モリブデン酸法で定量する。
    



  3. ヒ素の実験:  猛毒注意


  ヒ素(砒素、As、M=74.9) も、リンと同様に、灰色ヒ素(金属ヒ素、615℃昇華)、黄色ヒ素(柔らかい・ニンニク臭)、黒色ヒ素、四ヒ素 の4つの同素体がある。
  ヒ素もヒ素化合物も猛毒で、古代ローマの昔から(ヒソかに?)毒殺用に用いられてきた。すぐばれるので、”愚者の毒”とも言われる。 (ヒ素を含む物質を木炭粉と共にるつぼに入れて熱すると、ルツボの蓋に「ヒ素鏡」ができる)
  ヒ素の水素化物 アルシンAsH3)は猛毒。 高純度のものは半導体のドーピング剤に用いられ、また ヒ化ガリウム(ガリヒソ、GaAs)などの金属間化合物は半導体素子に用いられている。

  ヒ素の毒性は、もっぱら アミノ酸のシステインの-SH 基などに結合して酵素の機能阻害をおこすことによるが、リンに成り代わって 生体内の代謝全般にかかわる。 その毒性を利用して、(無水)亜ヒ酸As2O3)、亜ヒ酸カルシウムなどが殺鼠剤やシロアリ駆除などに用いられてきた。(有毒元素、タリウムはカリウムに、セレンは硫黄に 成り代わって害を及ぼす) シロアリ、ゴキブリなどの昆虫には、虫にだけ脱水効果のある、ホウ酸、硼砂が安全でよく効く。
  しかし一方で、ヒ素は微量必須元素であり、また、ヒ素の有機化合物の中には無毒のものが存在し、サルバルサン(ペニシリン以前の梅毒の薬、日本人が開発)が用いられてきた。


  (1) ヒ酸カルシウムの作成:

  亜ヒ酸は、ヒ素を燃焼する 煙道内にできるのを採取するが、実験室的に作りにくいので、ヒ素を濃硝酸に溶かして ヒ酸(H3AsO4)を作る方法で行なった。(リンの、正リン酸(オルトリン酸) H3PO4 に相当) ヒ酸も、亜ヒ酸に次ぐ猛毒である。

  灰色ヒ素(As、粒状(塊状)、M=74.9) 2g に、濃硝酸(HNO3、M=63.0、60%、ρ1.38) 10.2ml を加え、加熱して溶かす。(二酸化窒素発生 → 排気
  水酸化ナトリウム(NaOH、M=40.0、97%) 3.3gを水約20mlに溶かしたもので中和し、ヒ酸ナトリウム水溶液とする。(もし硝酸が余れば、アンモニアで調整)
  これに、塩化カルシウム(CaCl2、M=111.0) 3g(過剰量)の水溶液を撹拌しながら加えて、水に不溶性のヒ酸カルシウムCa3(AsO4)2、M=398.1)を沈殿させる。 触らないように注意して、ろ過・水洗(3回)・乾燥(風乾+デシケーター)する。粒は粗く結晶質なので、ろ過・乾燥しやすい。  ( ・・・・・ 実験後、ヒ素で汚染されたろ紙などは、汚染が拡散しないように、セメントで固め 庭の片隅などに埋めておく)

     As + 5 HNO3 → H3AsO4 + 5 NO2↑ + H2O、    2 Na3AsO4 + 3 CaCl2 → Ca3(AsO4)2↓ + 6 NaCl

 



  4. アンチモンの実験:


  アンチモンSb、M=121.8、mp.630.6℃、ρ6.70)は、常温常圧で安定なのは 銀白色の硬くてもろい灰色アンチモンである。 金床で砕き、乳鉢で容易に粉末にすることができる。 昔から、活字合金や アンチモニーという鋳物用に、鉛とスズとの合金として用いられてきた。 日本産の輝安鉱(Sb2S3)は鉱物として有名であるが、資源としては中国の湖南省が主な産地。
  現在の最大用途は、60%が三酸化アンチモン(Sb2O3)の形で難燃剤としてプラスチック等のコンパウンドとして用いられている。 20%が鉛蓄電池用、他 すべり軸受け合金用。 高純度のスチビン(SbH4、猛毒)やハロゲン化アンチモンは 半導体のドープ用に、特に 三ヨウ化アンチモンは、テルル‐ビスマス系 ペルチェ素子のドープに使われている。


  (1) アンチモニー合金の作成:

  アンチモニーは、鉛 80−90wt%、 スズ 2%程度、 アンチモン 10−20% 程度の割合の合金で、流動性が良く鋳造しやすく、その後のメッキもしやすいので、小皿・トロフィー・メダルなどの小物が作られている。 (鉛100%ならば凝固時に3.44%収縮、アンチモン100%で 0.95%膨張、 アンチモン75%‐鉛25%で 体積膨張率は0%となる。)
  融点=凝固終了温度は 220(Sb10%)−250℃(Sb15%)。作業温度はどちらも270℃。

  Pb、mp.327.5℃、ρ11.34) 83gスズ(錫、Sn、mp.231.9℃、ρ7.27) 2gアンチモンSb、mp.630.6℃、ρ6.70) 15g を、シリカケースに入れた黒鉛るつぼに入れ、高周波炉47.高周波炉の実験(3) の2.で加熱・溶解した。 アンチモンは高融点のため溶けにくいので、ステンレスの棒でよく撹拌して 皆溶けた。 溶解後、黒鉛型に流し込んで小ブロックを作った。 収縮率が小さいので、鉛やアルミ、亜鉛などよりも 型から抜けにくい。
  

  (2) 三ヨウ化アンチモン: (有毒)

  三ヨウ化アンチモンSbI3、M=502.5、mp.171℃、ρ4.92)は、テルル‐ビスマス系 ペルチェ素子のドープに用いられる。
  アンチモン粉末(Sb、99.999%、M=121.8、 粒状のものは (できれば)めのう乳鉢で砕く) 約1.2g(過剰量)、 ヨウ素(I、M=126.9) 1.5g を、100ml平底フラスコに入れ、ベンゼン(C6H6、bp.80.1℃) 約80mlを加えて、時々加温しながら よく振り混ぜて、アンチモンを溶かす。 液の色が黄色になったら、熱いうちに上澄みを三角フラスコに入れて放冷すると、ベンゼン溶液から オレンジ色の板状の結晶が出てくるので、ろ過して集め、乾燥する。 (ベンゼン引火注意)

         2 Sb + 3 I2 → 2 SbI3↓
 



  5. ビスマスの実験:


  ビスマス(蒼鉛(そうえん)Bi、M=209.0、mp.271.4℃、原子番号83で、放射性元素)は、赤みがかった銀白色(ビスマス単体の色)の柔らかくもろい金属で、低融点合金の材料として用いられている。 比較的純度の高いものが空気中で凝固するとき、ピラミッド状に重なった四角い結晶(骸晶)が現れ、酸化被膜のため、光の干渉による構造色を呈する。(蒼鉛(そうえん)の名前の由来) ビスマスは常温で反磁性体であり、水面に浮かべて強力な磁石を近づけると反発して遠ざかる。
  また、2003年に測定された半減期(非常に長い 1.9×1019年)により、 209Bi は α崩壊する放射性元素であることが判明し、最重の安定同位元素は鉛(208Pb)に譲ることになった。
  テルルとの合金は、熱電素子(ペルチェ素子)として 半導体等の冷却用に用いられている。 また、ビスマス系高温超伝導物質は、液体窒素の温度で安定した超伝導体である。

  ビスマスは 重金属であるにもかかわらず、ほぼ毒性の無い金属、また化合物であり、医薬用にも用いられている。 酸化ビスマス(Bi2O3)、次硝酸ビスマスは整腸剤・止瀉薬(下痢止め)などに用いられる。 ビスマスは濃硝酸に溶け、硝酸ビスマス(Bi(NO3)3・5H2O)を結晶する。 次硝酸ビスマスは、硝酸ビスマス 1: 水 4 を沸騰させ 生じる沈殿を集め乾燥させたもの。(Bi5O(OH)9(NO3)4、水に不溶の白色粉末)

  (1) 低融点合金:

  @ インジウムまで含む低融点合金(易融合金)で最低融点(共晶点=46.7℃)のものを作成した。(→ 金属の実験1.
  ビスマス45.6g、鉛23.1g、錫 8.5g、カドミウム 5.4gを先に溶融し、火を止めてから インジウム19.5gを加えた。 融点が低いので、放冷では凝固しにくい。 硬さはある。

mp(℃) Bi Pb Sn Cd In 合金組織
  46.7 44.7 22.6  8.3  5.3 19.1  共晶
  60.0 53.5  17  19  − 10.5  共晶  
  70.0  50 26.7 13.3  10  − 四元共晶 エルハ−ト
  60.5  50 25.0 12.5 12.5  −     ウッド
 100.0  50 28.0 22.0  −  −    ロ−ズ

   

  A メタルバス恒温槽 作成のために、メタルバスを 鉛‐ビスマス合金で構成した。 (原子炉の冷却用に採用されている)
  Pb 44.5 : Bi 55.5 (Wt%) のとき、m.p.125℃ (b.p.1670℃)になる。 鉛470g + ビスマス586g を秤量して、合わせて加熱溶解した。 このメタルバスは、125℃〜300℃まで(白金センサの温度限界による)使用可能。 (鉛はインゴット(モノタロウ)、ビスマスは四角いカレットで売っている)

    




      § エレメント115の謎:


  エレメント115とは、原子番号115番第15族元素(ビスマスの次の第7周期)で、モスコビウム(Mc)のことです。 モスコビウムは、2003年ロシアとアメリカのチームの共同研究で合成され、2015年IUPACで認定されました。 最も長寿命なモスコビウム290でも半減期は800ミリ秒で、α崩壊(10.3MeV)の強力な放射性を持っています。 縦軸:陽子数、横軸:中性指数の原子核分布で、比較的安定な「島」に位置し、化学実験が可能な、最重の安定元素です。

  同じプニクトゲンでも、重い元素では軽い元素と比べて電子が遥かに速く、光速に匹敵する速度で動くため、超重元素で特に相互作用が強くなり、その相対論効果により、閉殻の外に1つの電子を持ち、 Tl(タリウムイオン)のように+1価の酸化数を取りやすくなります。 閉殻イオンと 1個の軌道電子という 水素に似せたシュレデインガー方程式では、相対論効果により、モスコビウムの電子質量は静止電子の1.82倍 (m=m(1/√(1−v2/c2))、v=0.836 c) cf. ビスマス 1.25倍、アンチモン 1.077倍)  Wiki モスコビウム



  1989年11/10、ロバート・ラザー氏が、 TV番組(チャンネルエイト)で、彼が勤める「エリア51」の実態を暴露した話を、後に日本テレビが取材した情報によると、次のようです。 1988年当時、彼はエリア51にいて、UFOの動力源の研究をしていました。 9つの格納庫に一機ずつ 宇宙人が提供したUFO機(高さ5m、直径10m)が納まっていて、原子番号115の物質(エレメント115)を用い(223gで20−30年飛ぶという)、中央の反物質反応炉(リアクター)から重力波を作って機全体を覆い、下の3つの重力増幅器をコントロールすることによって自由自在に飛行する、という話でした。
  彼の話が本当だとすると、この不安定で強力な放射線を発する モスコビウムを、安全に格納して、重力場の制御に用いていたことになります。反物質リアクターと呼ばれる物で、この技術も理論も地球上には存在しない物質だそうです。

    →   ネフィリムの謎 5.エリア51の状況     最近(2021年)のインタビュー



  終末の反キリストの軍事的な威力は、ハバクク書1章5〜11節に書かれています。特に、
   「その馬は、ひょうよりも速く、日暮れの狼よりも敏しょうだ。その騎兵は遠くから来て、はね回り、鷲のように獲物を食おうと飛びかかる。」(ハバクク1:8)
  「ひょう」とは、ダニエル書7章6節から、3番目の獣 = 啓蒙・科学技術の時代 をあらわし、その一般的な技術力をはるかに超える”軍事力”が、反キリストによって3年半の世界支配に用いられます。

  また、「選民をも惑わそうとして、」あらゆるオカルト、魔術的なわざを行ってみせます。これにも、半分は悪霊の「ネフィリム」が深く関わっているかもしれません。
   「キリストがそこにいる、あそこにいる、荒野にいる、部屋にいるなどと言われても、信じてはいけません。」(マタイ24:23−26)
  もし「信じ」れば、悪霊の行いを共にすることになり、「救い」を失います。 これらの惑わしの中心は、そのときエルサレムにいる「終末のにせ預言者」(黙示録13:11)ですが、全世界の異邦の国々でも、「にせキリストたち」、「にせ預言者たち」が このような 偽りのしるしをもって多くの人々を惑わすことが許されます。(マタイ24:24)

  しかし、本当の「再臨の主」は、そのようなレベルではなく、全ての語られたことが成就した後、 「稲妻が東から西へ閃くように」(マタイ24:27)、圧倒的に超自然的に来られます。このとき、主は、世をさばくための大能を帯びられ、天のすべての軍勢(御使いたち)と、主に贖われたすべての聖徒たちの霊を連れて来られます。
  これらの終わりの憤りの時は、「主の再臨」の時までであり、主のさばきが全世界に行われ、それから御子イエス様が地上を支配される「千年王国」が始まります。





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